The First Steps

あなたは、今日も、
たくさん歩く。

駅まで急いで、階段をのぼって、仕事場で立ちっぱなしで。
気づけば一日、何千歩も。——あなたの毎日は、そのほとんどが、足の上にある。

The Part You Forget

その足を、あなたは、
あまり、ねぎらわない。

手も、顔も、毎日ていねいにケアするのに、足のことは、いつも後回し。
——いちばん働いているのに、いちばん、気にかけてもらえない場所。

By Evening

夕方になると、
なぜだか、機嫌が悪い。

足が重い。むくむ。靴の中が蒸れて、気持ちわるい。
——理由は足元にあるのに、あなたはそれを、ずっと「疲れ」のせいにしてきた。

A Quiet Truth
足元が軽い日は、
心まで、軽い。

一日の終わりに、足が、まだ機嫌よくいられたら。
それだけで、あなたは、もう少し、やさしくいられる。

On the Way Home

帰り道、あなたは、
少しだけ、やさしい。

すれ違う人にも、家族にも、自分にも。
足が疲れていないだけで、人は、こんなにも、機嫌よくいられる。

The End of the Day

夜、脱いだ足に、
跡が、ない。

一日じゅう歩いたのに、締めつけの跡も、むくみも、ない。
——今日は一日、足のことを、一度も、恨まずにすんだ。

You Forget It’s There

そういえば、履いたことを、
忘れていた。

朝、足を通した瞬間のことを、あなたは、もう思い出せない。
存在を、主張しない。——ほんとうにいいものは、たいてい、気づかれない。

Hands You’ll Never See

その一枚を、あなたの顔も
知らずに、編んだ人がいる。

どこか、ちいさな町の、小さな工場で。あなたが今日どこを歩くのかも、知らずに。
——あなたの足元は、会ったこともない誰かの、ていねいさに、守られている。

Tomorrow, Again

明日も、あなたは、
たくさん歩く。

駅の階段も、立ち仕事も、また同じ。
——でも、一日の終わりの足は、もう、重くない。

Where It Begins

いちばん見えない場所から、
自分を、大切にできる。

足元にまで、気を配れる人は、たぶん、自分の扱い方を、知っている。

The Next Hundred Years

あなたが選んだ一足が、
次の百年を、編む。

いい一足を選ぶことは、いい作り手を、残すこと。
——あなたの毎朝が、名も知らない誰かの、明日をつむいでいく。

ヤマヤ
yahae ・ 糸季 ・ Since 1921
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