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A SOUL
THAT OUTLIVES

※ フィクションを含みます
Chapter 01 — The Echo

HE IS GONE

でも今日も、世界中の誰かがMacを開いて、
「俺にもできるかもしれない」と思っている。

Appleは、
クリエイティブな自分になれる自信を、
今日も誰かに届け続けている。

Chapter 02 — The Lineage

でも今日も、世界中の誰かが缶を開けて、
「限界を超えてやる」と奮い立っている。

Chapter 03

でも今日も、世界中の誰かがシューズを履いて、
「まだ諦めない」と走り出している。

Chapter 04 — The Self

病院やクリニックに、
医療機器や消耗品を届ける仕事だ。

創業から25年。
自分の営業力を武器に
がむしゃらにやってきた。
気づけば社員は50人を超え、
売上も、取引先も、
順調に伸び続けている。

でも、本当に、これでいいのか?

数字は伸びている。
会社は成長している。
でも、俺の中の何かが、
置き去りにされている気がする。

Chapter 05 — The Question

WHAT DO WE DELIVER

便利さか?品質か?価格か?
それなら、競合でもいい。

俺の会社じゃなきゃダメな理由は、
何だ?
Chapter 06 — The Slogan

朝礼で何度も言った。
社内報にも書いた。壁にも貼った。

でも、現場で起きていたのは、
ベテランが若手を潰し、
新人が「ここ、なんか違う」と
辞めていく光景。

Chapter 07 — The Birthday

久しぶりに早く帰って、
家族で食事をしていた。
部屋を暗くし、
火のついたローソクが立った
ケーキを運びながら
バースデーソングを歌っている瞬間。
スマホが鳴った。

「社長、どう対応すればいいですか?」

バースデーソングは一時中断。
息子は急いでケーキの火を消した。

暗闇で見えた息子の笑顔が、
一瞬で消えた。

Chapter 08 — The Sacrifice

AT WHAT COST

取引先も従業員も大切だ。
でも、家族を犠牲にする必要はあるのだろうか。
自分を犠牲にする必要はあるだろうか。

俺がいないと回らない会社は、
俺が死んだら終わる会社だ。

ジョブズが死んでもAppleは続いている。
創業者が関係なくなっても、
顧客に届き続けている。
俺の会社は、どうだ?

Chapter 09 — The Philosophy

ミッションもビジョンも、一応は言語化してある。
でも、俺自身が、その言葉に
しっくりきていない。

Appleの「Think Different」は、
世界中のクリエイターの
背中を押し続けている。
Nikeの「Just Do It」は、
世界中のアスリートの
足を動かし続けている。

俺の会社には、そういう言葉がない。
顧客の人生を変える「何か」が、
言語化できていない。

Chapter 10 — The Encounter
「お客様第一って、
具体的に現場は何を基準に判断してるの?」

答えられなかった。

「ディズニーもスターバックスも
エルメスも、
『お客様第一』なんて言ってない。
『うちならどうするか』が先にあるんだ。

ディズニーランドのキャストは、
『便利さ』より
『ゲストが非日常の世界に浸れるか』で
判断している。
創業者がいなくても、
判断基準として魂が生き続けている。」

うちは、顧客に何を届けているんだ?

Chapter 11 — The Method

社員が迷ったとき、その軸で判断していた。
「どうやって、それを言語化したんですか?」


教えてもらったのが、
ブランドエクスペリエンス経営だった。

社長の頭の中にある判断基準を、
会社に宿す。
社員が「お客様第一」ではなく
「うちならどうするか」で
動けるようにする手法。

Chapter 12 — The Inquiry

なぜ、この事業を始めたのか。
なぜ、この仕事を続けているのか。
俺は、顧客にどうなってほしいのか。
俺の会社に関わった人に、
何を持ち帰ってほしいのか。

やっと見えてきた。

俺が本当に届けたかったもの。
俺の会社でしか届けられないもの。

Chapter 13 — Three Months

正直キツかった。
自分の内面と向き合うのは、
痛みを伴う作業だった。

2ヶ月目
変化が見え始めた。
判断を仰ぐ電話が、減った。
「社長、これでいいですか?」が、
「社長、こうしました」に変わった。
社員が、「うちならどうするか」で
動き始めた。

そして、3ヶ月目。
俺は、初めて1週間の休暇を取った。
スマホの電源を切って、妻と旅行に行った。

Chapter 14 — The Voice

「金曜に内視鏡を入れ替えたんだけど
 生検鉗子が届いてなくてさ。
 業者に連絡しても土日で誰も出ない。
 月曜の検査、組織取れないかと思った」

「そしたら、あんたのとこの社員が
 『呼吸器で同じ規格の使ってますよ。
 まず何本か借りて、
 追加は木曜にお届けしますね』って」

「俺より、うちのこと知ってるんだよ。
 本当に俺たちのこと考えてくれてるんだなって」

「あんたのところと付き合ってて、よかった」
Chapter 15 — The Realization

I WAS NOT THERE

判断も指示もしていない。
でも、俺の想いが、社員を通じて、
顧客に届いた。

「お客様第一」朝礼で何度も言っていた。
でも、届かなかった。
「うちならどうするか」その軸を言語化したら、
俺の想像を超えた形で動き出した。

嬉しかった。誇らしかった。
同時に、少しだけ寂しかった。

もう、俺がいなくても届くんだ。
その寂しさの中に、言いようのない安堵があった。
Chapter 16 — The Result

顧客に俺の想いが形になって
届くようになってから、
利益は後からついてきた。

追いかけていた頃より、むしろ伸びている。

当たり前だ。

感動した顧客は、また来る。
感動した顧客は、誰かに紹介する。
俺は25年間、順番を間違えていた。

Chapter 17 — The Legacy

WHEN I AM GONE

それは10年後かもしれないし、明日かもしれない。

でも、もう怖くない。

俺の会社は、俺がいなくても、
顧客に「何か」を届け続ける。
100年先、俺のことを誰も知らなくても、
この会社は、誰かの人生に関わり続ける。

誰かが「自分を信じよう」と思えた瞬間、
そこに、俺の魂がある。
Chapter 18 — The Art

A COMPANY IS ART

本物のアートは、作者が死んでも残る。
100年経っても、見る人の心を動かし続ける。

俺は25年かけて、この作品を彫り続けてきた。
まだ完成じゃない。
でも、やっと見えてきた。

100年先の誰かが
俺の会社に触れたとき、
その人の人生が少しだけ変わる。
それが、俺の作りたかったものだ。

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