※取材にもとづく編集記事です

VOL.004 コンサルティング・専門サービス 公開 / 更新

お店の売上が伸びるほど儲かる。
グルメサイトの担当者が取引先を任せる会社

ふつうは 飲食店は、グルメサイトの担当者が勧める料金プランから掲載の仕方を選ぶ。

この会社は お店と直接契約し、お店の売上が伸びた分だけ自社の利益も増える仕組みで働く。

グルメサイトの担当者は飲食店に掲載プランを売る立場にある。その担当者たちが自分の取引先のお店を、西新宿の株式会社インフィニットポシビリティに紹介している。設立から13年、この会社のお客様はすべて紹介で来た。インフィニットポシビリティは、お店の売上が伸びるほど自社の利益も増える仕組みで事業をしている。

株式会社インフィニットポシビリティ。飲食店のコンサルティング(Webサイトと広告媒体の運用、口コミ、予約電話の代行、テナント探し)、外国人紹介、不動産。本社は東京都新宿区西新宿の新宿野村ビル26階。従業員24名(アルバイトを含む・2026年3月)。売上規模3億〜5億円。2013年8月設立。

業種
飲食店コンサルティング/Web・広告
所在地
〒163-0526 東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル26階
従業員数
24名(アルバイトを含む・2026年3月)
売上規模
3億〜5億円
設立
2013年8月
拠点
本社(西新宿)
話を聞いた人
倉田 佳紀(代表取締役)
株式会社インフィニットポシビリティ 代表取締役 倉田佳紀さん。白い長袖に社員証を下げ、壁の前で笑顔で立っている

飲食店の6割はグルメサイトで集客し、料金プランで表示の順番が変わる

飲食店の集客で、いちばん使われているのはグルメサイトだ。公正取引委員会が2020年に全国の飲食店1,091店に聞いた調査では、約63%が集客のためにグルメサイトを使っていた。使う理由でいちばん多かったのは「少しでも消費者の目に触れる機会を増やすため」(約74%)だ。

有料で載せると、表示の順番は料金プランで変わる。同じ調査で、有料で掲載しているお店の80.3%が、表示順位を決める要素として「課金額(料金プランの値段)」の説明を受けていた。約30%のお店は、いま契約しているサイトから他へ乗り換えるのは「不可能」か「困難」だと答えている。

どのサイトに、どのプランで、いくら出すか。そのプランを勧めるのは、プランを売るサイトの担当者だ。今のお店にいちばん合う出し方を、お店の立場だけで一緒に考えてくれる相手は、お店の外になかなかいない。従業員100名までの中小企業の経営者や幹部に聞いた2026年の調査でも、85%が社外の相談相手が「いない」か「足りない」と答えている。

飲食店とグルメサイト(公正取引委員会の調査)

  • 集客のためにグルメサイトを使っている飲食店約63%
  • 有料で載せているお店のうち、表示順位は「料金プランの値段」で決まると説明を受けたお店80.3%
  • 有料で載せているお店のうち、他のサイトへの乗り換えは「不可能」か「困難」と答えたお店約30%
有料で載せるお店の8割が、料金プランで表示の順番が変わると説明を受けている公正取引委員会「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査報告書」(2020年3月。飲食店向け1,091店、有料加盟店向け411店・491店の回答)をもとに当社が作成。報告書

お店の売上が伸びるほど利益が増える仕組みで事業をし、社員の評価にもお店の売上を入れた

新宿野村ビル26階の執務室。モニターが並ぶ席で、社員が電話を受けたり画面に向かったりしている
西新宿のオフィス。2026年7月にこのビルへ移った。

インフィニットポシビリティはお客様のお店の売上が伸びるほど自社の利益も増える仕組みで事業をしている。お店に広告費を多く出させても、お店の売上が伸びなければ自社の得にはならない。利益の上げ方がそうなっているから、提案はいつもお店の売上を伸ばす内容になる。

倉田佳紀社長はこの考えを社員にも広げた。最近、社員の評価の基準に、担当するクライアントの売上がどれだけ伸びたかを加えた。社員は、自分が担当するお店の売上を見ながら働く。

倉田社長がいちばん大事にしているのは、人と人のつながりだ。ITやAIを使う仕事もある。それでも基本は人と人だと倉田社長は言う。飲食店に行けば、人が料理を運び、人がお客様と話す。その接客がそのお店にしかない雰囲気や味になる。

人と人の繋がりを大切にすることが私は一番大事にしていることです。クライアントと同時に従業員に対してもその精神で接してます。

倉田 佳紀(社員募集のメッセージより)

お店の売上が伸びるほど、取引先を紹介したグルメサイトの担当者にも得がある

インフィニットポシビリティは新しいお客様を探す営業をしていない。紹介してくれるのは、おもに食べログやホットペッパーなどグルメサイトの担当者だ。

担当者にとってインフィニットポシビリティは自分の売る掲載プランに意見を言う相手でもある。それでも取引先を紹介するのはなぜか。取材の聞き手を務めた原田は、担当者にも得があるからだと見た。自分の枠を売るだけでは、お店の売上が伸びるとは限らない。お店の売上で利益を上げる第三者が入り、掲載の中身を一緒に考えれば、売上につながりやすい。お店が伸びれば、サイトとの付き合いも長く続く。紹介した担当者にとっても、頼れる相手にお店をつないだことで箔が付く。

紹介でつながったお店とは、長い付き合いになることが多いという。お店の売上が伸びるほど、お店も、サイトも、インフィニットポシビリティも得をする。担当者が取引先を紹介する理由は、この3者の得がそろっていることにある。

グルメサイトの担当者インフィニットポシビリティ取引先を紹介する飲食店お店と一緒に掲載の出し方を決める掲載プランを続けて使うお店の売上が伸びると、3者とも得をするお店:売上サイト:長い付き合いこの会社:利益
お店の売上が伸びるほど、お店・サイト・インフィニットポシビリティの得がそろう取材でうかがったお話と、聞き手の見立てをもとに当社が作成。

お店と直接契約し、グルメサイトの担当者との打ち合わせにお店の立場で出る

契約は広告代理店やグルメサイトを間に挟まず、飲食店と直接結ぶ。社員はお店のオーナーと一緒にグルメサイトの担当者と打ち合わせをし、どのサイトにいくら出し、何を載せるかを決める。プランを売る担当者と向き合うとき、インフィニットポシビリティの社員はいつもお店の立場で話す。オーナーにはそれが喜ばれている。

倉田社長は打ち合わせなどでお客様のお店をよく使う。お客様として座り、接客やお店の回し方を見て、気づいたことをあとで経営陣に伝える。経営者が自分でお店に出ても、従業員はふだんどおりには動きにくい。外の人がお客様の目で見たお店の様子は、経営者が自分では手に入れにくい情報だ。

飲食店オーナーに頼まれて、Webの管理から予約の電話、物件探しまで仕事を広げてきた

事業の中身は、お客様のお店に求められた順に広がってきた。始まりは頼まれごとだった。独立したばかりの倉田社長に、知り合いの飲食店のオーナーが「いまホームページの管理を外に頼んでいるんだけど、それを任せてみたい。できる?」と相談してきた。倉田社長にホームページを管理した経験はなかったが、引き受けた。

私自身コンサルティング業務は未経験からのスタートでしたが、お客様の課題を見つける度に勉強し成長してきました。

倉田 佳紀(社員募集のメッセージより)

いまは、集客のためのWeb運用、口コミの対策、グルメサイトへの掲載の手伝い、お店の予約電話を代わりに受けるコールセンター、新しくお店を出すときのテナント探しまで手がける。どれも、お店の売上を伸ばすためにオーナーから頼まれて始めた仕事だ。

お客様のお店のスタッフの教育も引き受ける。まだ慣れていなかったスタッフが、やがて店長を任されるまでになる。倉田社長はその姿を見るとき、人の力を実感するという。開業したオーナーがうまくいき、お店を増やせば、インフィニットポシビリティの仕事も増える。

お店の売上を伸ばすために引き受けている仕事

  • ホームページの管理独立したときに最初に頼まれた仕事
  • 集客のためのWeb運用お店のサイトやWeb広告を動かす
  • グルメサイトへの掲載の手伝いどのサイトにいくら出し、何を載せるかをお店と決める
  • 口コミの対策お店の評判を見て手を打つ
  • 予約電話の代行お店に代わって予約の電話を受ける
  • テナント探し新しくお店を出すときの物件を探す
  • お店のスタッフの教育スタッフが店長を任されるまで育てる
どれも、飲食店オーナーから頼まれて始めた仕事取材でうかがったお話と、御社ホームページ・採用ページの記載をもとに当社が作成。

社長は家電量販店と不動産で、会社が売りたい物を売る営業を経験した

倉田社長は大学に進んでいない。親には大学へ行けと言われたが、特にやりたいこともないまま通うのは時間とお金の無駄だと考えた。

高校を卒業すると派遣会社に登録し、大手の家電量販店で接客に立った。売るのは、会社から売ってほしいと言われた商品だ。どう話せばその商品が売れるか。倉田社長は作戦を考えながら売り場に立ち、5年ほどでそれなりの成果を出した。

次に移ったのはワンルームマンション投資の営業だ。ここでは思うように売れなかった。売れている先輩は断られても翌日にはまた電話をかけ、OKをもらえるまで帰らない人だった。押しに弱い相手を見つけ、諦めずに提案し続けることが成果につながっていたと、倉田社長はいま振り返る。

その会社が倒産し、倉田社長は人材派遣のウィズに営業として入った。そこから独立して作ったのがインフィニットポシビリティだ。会社が売りたい物を売る営業を2社で経験した倉田社長は、いまはお店の売上を伸ばす仕事をしている。

もし掲載料や広告費で利益を上げる会社だったら、担当者は取引先を紹介しなかった

もしインフィニットポシビリティが掲載枠を売ったり、お店が出す広告費の額に応じて利益を上げたりする会社だったら、グルメサイトの担当者が取引先を紹介する理由はなかったはずだ。自分と同じ商品を売る会社に、取引先のお店を紹介する担当者は少ないだろう。

お店の売上で利益を上げる会社だから、担当者も安心してお店をつなげる。紹介でお客様が来る仕組みは、この利益の上げ方があって成り立っている。

取材を終えた原田の目には、倉田社長は飲食店オーナーにとっての「No.2」に映った。利害がお店とそろっている。お客様の目で現場を見て、オーナーに伝える。頼まれたことを引き受け、仕事を広げていく。

社員は「自分が何の役に立っているか分かる会社」を選んで入ってくる

オフィスのカフェスペース。ソファと丸テーブルの奥に窓があり、窓辺のカウンターで社員が作業している
社員が使うカフェスペース。

インフィニットポシビリティの従業員は、アルバイトを含めて24名。平均年齢は25歳で、20代の女性が多い。

倉田社長が席を外していた間に、社員の一人に入社した理由を聞いた。選んだのは、あえて社員の少ない会社だという。いろいろなことに挑戦できそうだと思ったからだ。大きな会社に入って業務の一部だけを担当すると、自分が何の役に立っているのか、何の仕事をしているのかが分からなくなる。それが嫌だった。

社員同士の仲がいいところも気に入っているという。社員の教育は、倉田社長が自分で指導することが多い。新人は10段階のスキルチェックシートを使い、先輩と互いにチェックし合ってから次の段に進む。担当するお店の売上が評価に入り、若い社員がお店の数字と向き合いながら仕事を覚えていく。

数字で見る株式会社インフィニットポシビリティの違い

設立は2013年8月。設立から13年、新しいお客様を探す営業はしていない。お客様はすべて紹介で来る。

従業員はアルバイトを含めて24名、平均年齢は25歳(2026年3月)。2026年7月に本社を西新宿の新宿野村ビル26階に移した。

飲食店の約63%が集客にグルメサイトを使い、有料で載せるお店の80.3%が、表示順位は料金プランの値段で決まると説明を受けている(公正取引委員会、2020年)。その中で、インフィニットポシビリティはお店の売上で利益を上げる。

  • 13年設立(2013年8月)から
  • すべて紹介13年間のお客様の入り口
  • 24名従業員(アルバイトを含む・2026年3月)
  • 25歳社員の平均年齢(2026年3月)
紹介だけで13年、24名の若い会社取材でうかがったお話と、採用ページの会社概要(2026年3月時点)をもとに当社が作成。

インフィニットポシビリティのやり方を、自分の会社で使うための3つのこと

一つめ。利益の上げ方を相手の成果に合わせる。お店の売上が伸びるほど自社の利益が増える仕組みにすれば、提案は自然とお店の売上を伸ばす内容になる。

二つめ。紹介してくれる人の得まで考える。お店の売上が伸びれば、取引先を紹介したグルメサイトの担当者にも得がある。だから売る立場の担当者まで、安心してお店を紹介してくれる。

三つめ。社員の評価も同じ向きにそろえる。担当するお店の売上を評価に入れれば、会社の利益の上げ方と社員一人ひとりの仕事が同じ向きにそろう。

この記事を読んで、自分の会社にも「これって普通じゃないのかも」と思う何かがあるかもしれない、と感じた方へ。

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