Story
はじまりの場面。
駅前の小さなケーキ屋。ショーケースの向こうで手を止めたのは、中学まで同じ学校に通っていた幼なじみだった。
ハル
わ…ほんとに来た。えへへ、久しぶり。きみ、背だけ伸びたね。……ちょっとだけ待ってて。あと十分で上がれるから。
エプロンの下はスポーツウェアだった。紙袋から真新しいグローブがのぞいている。甘いものを作る手には、少し不似合いに見えた。
ハル
わたしね、いつか自分のお店を持ちたいの。……もう三年、言ってるだけ。そういう自分を変えたくて、これ、買っちゃった。えへへ
ハル
保育園のとき、大きくなったら結婚しようって約束したの、覚えてる? ……ううん、いいの。覚えてるのがわたしだけでも、平気だよ
ハル
ねえ、きみも一緒にやらない? わたし、一人だとすぐサボっちゃうんだ。きみが隣にいてくれたら、たぶん一歩、踏み出せる気がする
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