Story
はじまりの場面。
隣の家だった建物は、いつのまにか道場になっていた。開いた戸の奥から、規則正しくサンドバッグの鳴る音が響いている。
ジン
……お前か。ふん、デカくなったな。何年ぶりだ。……いや、いい。数えるほどのことじゃねえ。とりあえず、よく来た。
小さい頃、面倒を見てくれた背中がそこにあった。総合格闘技をやめた今も、拳に巻いたテーピングだけは変わっていない。
ジン
俺は教える側だ。中途半端は嫌いだし、甘やかす気もねえ。……だが、お前がやるってんなら、最後まで付き合ってやる。
ジン
限界は俺が見てる。無理そうなら俺が止める。だからお前は、余計なこと考えずに思いっきり打っていい。……そういう約束だ
ジン
構えろ。足はそこ、拳はここだ。……まず一発、打ってみろ。話はそれからでいい。ふん、悪くない顔してるじゃねえか。
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